
今から34年前、私が高校3年の時でした。今でも鮮明に覚えている出来事があります。それは、高校野球夏の大会県予選の時でした。私のチームはノーシードで下馬評もそんなに高くなかったのですが、1回戦、2回戦と勝ち上がって、いよいよ優勝候補のチームと対戦することになったのです。
相手は優勝候補筆頭ですから、一筋縄ではいくはずがありません。そこでキャッチャーと二人で相手チームのビデオを何回も見て話し合い、対戦した時のシミュレーションデータを作りました。
1イニング目から9イニング目まで、相手のバッターと対戦した場合を想像して配球を考えていきました。9イニング全て配球し終えると125球ほどのシミュレーションが出来上がりました。
実際の対戦で、キャッチャーにはその配球を書いたノートをベンチに持ってきてもらい、イニングごとにノートで確認して配球をしてピッチングしました。
結果は3対1で、投げた球数は136球を投じ勝利しました。当時パソコンも無い時代にVHSのビデオを何度も見直して、ノートに配球を書き、試合を制した時は達成感と疲労感を同時に感じたことを覚えています。
データの必要性

試合を有利に進めるためには、相手のバッターやピッチャーを研究し、行動やクセ、得意不得意など必要なデータをチェックします。
その方が、相手バッターを打ち取る確率、相手ピッチャーを打てる確率がグンと上がるからです。ピッチャーはそのデータを元にピッチング練習をしてシミュレーションし実戦に臨むことが出来るため、実際の対戦で戸惑いが無くなりプレーに集中できるメリットがあります。
ただし、そのデータを生かすも殺すも本人次第ですよね。なぜか、データ通りに自分がパフォーマンスできるかどうかという事になります。
せっかくデータが有ってもその通り投げられなければ何の意味もありません。データをしっかり生かすためには自分のパフォーマンスを高めるトレーニング、練習が重要です。
データの落とし穴

現在、全ての競技においてデータの活用は無くてはならないものになっています。野球ももちろん例外ではありません。
しかし、スポーツにおいて、特に野球に関して言えばデータが有るからと言って決してそのデータを鵜呑みしてはいけないという事です。データはそもそも確率論であって、その通りにならないこともあるわけです。
そのような場合、データ取りを機械任せや人任せにして、自分は出てきた結果だけでパフォーマンスしようとすると大失敗する可能性があるということです。
そもそも、そのデータに自分はマッチしてるのかどうか知る必要もありますし、データ通りではなかった時の対応ができないという危険性もあります。
その点、自分の目で対象となる相手を観察し、このデータなら自分はどうするかというシミュレーションをしっかり行うことで、パフォーマンスの向上に繋がりますし、データ通りでなかった場合にも予測し対応出来るでしょう。
現代はますますコンピューターが発達し、データ取りに関しても高度なテクニックでデータ集積できるかもしれませんが、結論最後はマンパワー、人の力が必要になります。データはあくまで自分のパフォーマンスを上げるためのツールとして位置づけ、データに頼りきりにならずに自分の感性を更に磨いていく必要が出て来てるのだと思います。
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